口腔カンジダ症について

口腔カンジダ症とは鵞口瘡(がこうそう)とも呼ばれ、かびの一種であるカンジダ(真菌)が、口の中の粘膜で増殖する病気です。カンジダは、もともと口の中に住みついている常在菌の一つで、健康なときにはおとなしくしています。口の中の粘膜の抵抗力が低下してくるとカンジダが増殖してきます。抵抗力の不十分な乳幼児や高齢者に多く認められます。

成人の場合には抵抗力を低下させるような病気、例えば糖尿病、栄養失調、悪性腫瘍などの病気があると起こりやすくなります。また、病気治療のために、抗生物質、副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤等を長期に使用しているときにも出現することがあります。

新生児や乳幼児では免疫機能が未発達なため、ちょっとしたことで出現します。例えば風邪をひいたり、発熱した場合などです。

症状は、口の中の粘膜の表面に、ミルクかすのような灰白色の膜が点状や地図状に付着します。頬やくちびるの内側、舌によく付着しますが、時には口角部(口の端)に発生して端が切れた様になります。膜はこするとはがれ、その下には赤くなった粘膜が現れます。たいした症状がありませんが、程度が強くなるとざらざらして、ものがしみたりします。そのために乳幼児では食事が十分に取れなくなったりします。

写真は生後6カ月の乳児に認められた口腔カンジダ症です。頬からうわあごの粘膜に多数の白い斑点が認められます。

治療はカンジダに有効な抗生物質でうがいをしたり、ピオクタニンという紫色の色素剤を口腔内に塗布したりします。それとともに抵抗力を低下させる原因となったもとの病気の治療が必要です。

口腔カンジダ症はなかなか根治しにくい病気ですが、通常命にかかわるようなことはありません。しかし、頻回に再発したりする場合には、全身の抵抗力の低下するような病気(例えば悪性腫瘍、膠原病)が潜んでいることがありますので注意が必要です。