鼻血がでたら

日頃よく見かけるものに鼻出血(鼻血)があります。

もともと鼻の粘膜には血管がたくさんあり、ちょっとした刺激で簡単に出血します。赤い血を見ると本人も周囲の人もびっくりして、混乱しがちです。しかし、ほとんどの出血は、適当な対処をして安静にしておれば、しばらくすると止まりますので心配ありません。

鼻出血の原因は大きく二つに分けられます。全身的な問題と、局所的な問題です。全身的な問題としては血液疾患(白血病、貧血)、循環系の疾患(高血圧、動脈硬化症)、肝臓の疾患(肝硬変)などで血管が脆くなったり、血液が薄くなったりした時にでやすくなりますが、頻度としてはそう多いものではありません。鼻血の多くは蓄膿やアレルギー性鼻炎、また鼻中隔弯曲症など鼻の中に原因がある局所的な問題です。特に、鼻の入口に近い部分(キーゼルバッハ部位とよばれます)は血管がたくさん集まっていて、指を入れたり、擦ったりすることで簡単に出血します。

では、実際に鼻血がでたら、どの様に対処したらよいでしょうか。

1)一番大切なことは決してあわてないことです。鼻血だけで命を落とすことはまずありません。とくに家族の方があわてると、本人も不安になってよけい興奮し、血圧が上がってますます出血することになります。

2)鼻の入口に近い部分の出血はまず心配ありません(子供の出血のほとんどはこれです)。一般的に言って、最初に鼻の入口から出てきたものは鼻の前の方の出血、最初にのどの方に流れてきたものは鼻の後ろの方からの出血が多いようです。

3)鼻血が出ているときに、仰向けに寝ていたのでは、血は鼻の後ろから口の中に流れ込み、いつまでたっても止まりません。また口の中に入った血液は唾液と混じって余計にたくさん出たようにみえます。出血した時には、座って頭を少し前に傾け、出血している側の鼻に綿花を詰めます。そして図のように鼻翼をつぶすように強くおさえ、5分ぐらいそのままじっとしておいて下さい。5分という時間はかなり長く感じられますが、それより短くてはなかなか止まりません。止まったら、綿花はそのままにして、1時間ぐらい安静にしておいて下さい。

4)口の中に流れ込んだ血液は飲み込まずに吐き出して下さい。飲み込むと気分が悪くなるし、出血した量も分からなくなります。

5)逆に鼻の奥の方からの出血はなかなか止まらないことが多く、要注意です。特に年輩の方の鼻血は全身的な問題が潜んでいることがあります。ですから、3)のような処置を繰り返しても止まらないとき、また最初からのどの方へたくさん流れてくる場合などには専門家による応急処置が必要となってきます。