手足口病とは

手足口病とは夏かぜの一種で、その名の示すとおり四肢末端と口腔粘膜に発疹を来す疾患です。コクサッキーウイルスとかエンテロウイルスとか言われる、腸に潜んでいるウイルスが原因で起こる病気で、1957年ニュージーランドにて初めて発見されました。日本では1963年に初めて発見され、それ以後程度の差はあれ毎年夏期になると流行しています。

4、5才以下の乳児に多いものの、ときに学童や成人にもみられます。飛沫感染が主体で4ー5日の潜伏期の後、特有の発疹が出現します。手のひらや指の側面、足ではかかとや親指の側面に水疱がまばらに出ます。周りが赤く縁どられた米粒から小豆大の楕円形の水疱で、かゆみや痛みはありません。また臀部にも発疹が出現します。一方、口唇の内側、頬の内側、舌、軟口蓋にも、周囲が赤く縁どられた直径5ー6mmの楕円形の潰瘍がみられます(写真参照)。これは皮膚の発疹と違って痛みがあり、特に幼児では食事などに際して強い痛みを訴えることがあります。そのほかの症状としては、発熱があります。気づかない程度のことが多いのですが、20%ぐらいの子供では、38度前後の発熱が発疹出現とともに、もしくはそれに先行して2ー3日認められます。

皮疹に対する治療は不要で、口の中の痛みと発熱に対する対症療法が主体となります。味付けを薄くしたり、柔らかい食べ物にして食事に際しての痛みが軽減するよう工夫して下さい。

一般に経過は良好で約1週間で治癒します。(非常に稀ですが、中には無菌性髄膜炎を合併することがあります。)

なお、感染力が強く、学校感染症第3種に指定されています(登園登校の制限があります)。登校再開の目安は通常粘膜疹が軽減し、のどの痛みが消失した時点です。